BWV1025 ヴァイオリンとオブリガート・チェンバロのための組曲 イ長調

s-1025 s-Dresde_181Ent

【主要原典】
「A dur / Trio fürs obligate Clavier und eine Violine / Von J. S. Bach」C.P.Eバッハによるタイトル
C.P.Eバッハによるパート譜 ベルリン国立図書館プロイセン文化財部門蔵 1749年前成立(Bach Digital)

「Trio für Clavier / mit Begl. einer Violine」
J.S.バッハ自筆含むチェンバロパート譜 ベルリン国立図書館プロイセン文化財部門蔵
18世紀成立(Bach Digital)

【曲目】
Fantasia
Courante
Entrée
Rondeau
Sarabande
Menuett
Allegro

【解説】
S.L.ヴァイスのリュート組曲イ長調(ドレスデン写本 P181-188)をオブリガート・チェンバロに書き換え、J.S.バッハ自身がヴァイオリンパートを付加したソナタ(トリオ)。ヴァイスの原曲にはない「ファンタジア」も冒頭に加えられ、曲順も一部入れ替わっています。「ファンタジア」の作曲者はバッハ自身との説が有力です。バッハの自筆が残っているにも関わらず、様式批判により偽作説が強かったのですが、現代のリュート奏者E.Palviainenによってヴァイスの組曲との関連性が発見され、C.ヴォルフによって共作の事実が公表されました。また、C.ヴォルフは作品の成立年を1739年としています。ヴァイスのバッハ家滞在を契機としているという推量なのでしょうが、確証はありません。しかし、バッハとヴァイスの競演の際の即興から生まれたとする考えは当然あり得るでしょう。バッハは即興で声部を足すことを得意としていたようです。「三重奏の伴奏をすることが一度ならずあったが、…希薄な通奏低音のパート譜を元に即興で完全な四重奏曲に仕立て上げ、作曲者を唖然とさせた…。」(C.P.EバッハのJ.N.フォルケル宛の手紙
1774年)

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