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佐藤豊彦氏プロフィール

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リュート界に於ける世界の第一人者として活動する佐藤豊彦は、立教大学在学中に恩師皆川達夫に出会い、啓蒙を受け、1968年にスイス、バーゼルに留学した。バーゼルではオイゲン・ドンボアにリュートを師事、1971年に世界で初めてのバロックリュートLPを録音してデビュー。

1973年には29歳でオランダ王立ハーグ音楽院の教授に抜擢され、2005年に退官するまでの32年間、世界各国で活躍する多くの後輩リュート奏者を育てた。

1982年のカーネギーホールでのリサイタルは、ニューヨークタイムズに写真入で絶賛を博した。Toshiba、Telefunken、Philips、EMI, Channel Classics、Carpe Diem、Nostalgia、など様々なレーベルで数多くのLP、CDを録音し、1980年にオランダでエジソン賞を、同年に日本で文化庁芸術祭賞を、さらに1983年と2008年の2回にわたってレコード・アカデミー賞などを含む多くの賞を受賞した。作曲家としても世界各地の現代音楽祭に参加し、自作品によるCD2枚もある。出版物にも「バロックリュート教則本」、「ヴァイヒェンベルガー・リュート選集」、「歌曲、或いはエア集 第1巻」などがある。

2000年には「リュート&アーリーギターソサエティ・ジャパン」(LGS-Japan)の会長に就任し、音楽家のための禅茶道「楽禅古流」と「楽禅式呼吸法」(気功)を考案し、能楽を学び、伝統的な日本の精神文化との融合を目指して、今も国際的に活動を続けている。

※2015年7月20日追記
1982年のカーネギーホールでのリサイタルのチラシ、ニューヨークタイムズの記事の画像追加

 

2015年7月18日 リュートお稽古

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・強調したい箇所は強くではなく、長く。
・左手のポジションはできるだけフレット寄りに。少なくとも全ての指は半分よりフレット側に。
・あまり複雑に考えない。単旋律でシンプルに歌うところは歌う。
・ヴァイスはBflatを7コースで取る場合が多いが、6コースで取った方が楽な箇所は、どんどん変更して構わない。
・ヴァイスのシャコンヌは7小節単位。4小節目の後半では待って、少し一息ついてみる。
・できる限る歌のうまい人と合わせる、伴奏をすると、ソロの弾き方も分かる。
・「何か簡単な歌の伴奏ありませんか?」「ダウランドはいいですよ。但し、簡単な曲は速く、遅い曲は込み入ったことをしています。つまり全て難しいです。」「何かもっと簡単な曲を。」「でもダウランドにしましょう。」「…。」

・「ケース・オッテンは生き字引のような人だった。何か電話で尋ねたら、『あー、それは音楽辞典の○○ページの左上の写真の下の方にこう書いてある。』等と答えるような。「電話先でですか?」「試しに訊いたら音楽辞典の1ページ目から全部諳んじていた。全部頭に入ってるんだよね。」
・ハンス・ネーマンがおそらく世界で最初に(復興した)バロック・リュートを弾いた人だろう。戦前の教則本も残っているが、ちゃんとした内容だ。彼が売りだしたバロック・リュートもダブル・ヘッドも割合まともなもの。(ブリッジの位置は高いけど)当時はガット弦だし。でもベルリンだったから戦争で彼も仲間も亡くなってしまった。ヴァイスのドレスデン稿の一部の組曲やロイスナーの手稿譜等も戦争で失われたけど、ネーマンの出版譜のお陰で残った。ゲルヴィッヒはルネサンス調弦でバロックを弾いたから、ネーマンより後退してるよね。」

【禅茶】
・立ち居振る舞いでは、能で囃子が楽器を持って舞台に出てくる場面を参考にするとよい。あれは美しい。
・袱紗扱いで、最後に手前に持ってくる際には、高さを変えず低いまま。
・茶碗に湯を注ぐ際の柄杓が高さが高過ぎる。上から見て柄杓の底と茶碗の縁が同じ高さに見えるくらいでよい。実際にはそれで一合分空いている。

2015年7月4日 リュートお稽古

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・修行時代は装飾を最初から考えて弾いてもよい。自分の本棚になるべく多くの本を詰めて、違う曲のふとした瞬間に、その本が出てくれば、それがすなわち即興となる。
・音が3度4度で飛んでいる旋律は、その間を埋めて音階にするだけで、立派な装飾になる。
・ヴァイスの時代は(それ以前も)強弱は長短で表現しよう。長ければ即ち重く、それが強弱となる。
・トリルの最初の音を長く取るのは、バロックも中期以降。ゴーティエはトリル、前打音は短く弾けと書いている。
・セパレーも時代によって違う。ゴーティエ、ド・ヴィゼー、ロイスナー、ヴァイス、同じように弾かず勉強が必要。
・ファクシミリを弾こう。特に現代のコンピュータ処理の楽譜はダメ。無味乾燥で演奏もそうなってしまうよ。
・トーマス・メイスは「1弦は切れる直前のギリギリまで張る」と書いている。言い換えれば、それが基準で、絶対的なピッチ等は存在しなかった。

【禅茶】
・立ち居振る舞いにおいて、膝をしっかり曲げ、出した足引いた足に体重を乗せる。
・袱紗扱いで、右手を前に出して戻す間は、左手は一切動かさない。
・袱紗扱いで、人差し指を一文字に書いて折る際には、上部をかなり長めにする。
・お茶を点てる際、茶筅はしっかり振るが、あまり速くし過ぎないこと。速過ぎると泡が荒くなる。