Fantasie c-moll / Silvius Leopold Weiss

Fantasie c-moll / Silvius Leopold Weiss
from manuscrit de Londres

ファンタジー ハ短調 / シルヴィウス・レオポルト・ヴァイス
ロンドン写本より

Baroque lute made by Richard Berg
with gut strings

リチャード・バーグ製作13コース・バロック・リュート(総ガット弦)

2015年8月20日録画

2015年8月11日 リュートお稽古

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・アルペジオで、和音の構成音じゃない音が出てきたら、やはり強調しよう。
・左手の小指のみで押弦というのは、親指と対になりにくくミスもしやすくなる。なるべく避けよう。
・均一に弾いちゃ面白くない。ファンタジーなんだから。
・リタルダンドする、しない、全く自由だ。次に入るフレーズのテンポをどうしたいかで決めたら?
・運指の都合上、オクターブ高いところにバスがある。それは見つけて、ちゃんとバスとして弾こう。
・ヴァイスのg-mollのシャコンヌはもとは二重奏。いろいろ変えて弾かないと面白くないかな。
・中声部に主旋律がある。そこは意識して弾こう。

・「弟子の中にも自分より弾けるのは山のようにいた。ただ感性はというと…。もちろん素晴らしい感性の持ち主もたくさんいた。ただ腕前の方はというと…。」
・「グライフを譲ってもいいと思える人は?」「グライフに宿る霊を感じ取れる、感性が響き合う人なら、あとは簡単な曲さえ弾ければ腕前などどうでもいい。」
・「トニー・ベイルズは良い音楽家だと思うけど、グライフをトニーに譲ってもしょうがない。70代に託すも何も無い。」「向こうが先に引退するかもしれませんね。」
・「忠実なコピーといったってオリジナル楽器は全て左右非対称。木型を造る際に左右からどのようなラインを取って表面板の形を決めるかは製作家のセンス。リチャードやニコーはものすごくごだわっている。今までそのラインが美しいと思ったのは、リチャードとニコーとマイケル・ロウの3人だけ。」
・「バッハを演奏するには、ジョスカンやってモンテヴェルディやって、という歴史に沿った経験を積んだ方がいい。僕がバーゼルにいた頃(60年代?)は、アーノンクール、レオンハルト、ヴェンツィンガーと一緒にマショーをやってたんだよ。」「そのメンバーでマショーですか…。」「アーノンクールがヨハン・シュトラウスなんか振って評価されるのは、彼が中世・ルネサンス・バロック・古典と何でもやってきたから、作られる音楽が全く違うからだよ。」
・「先生、ビートルズとお酒飲んだって本当ですか?」「たまたま、ホテルの地下のバーで一緒になって、それで飲んだよ。こちらはシンタグマ・ムジクムのメンバー。ビートルズも自分たちもGパンに髪がロングだった。ワルター(van Hauwe)なんて全く同じ格好。そういう格好でコンサートをやるっていううのが革新的で受けたんだよね。象牙のリュートを入手してからは衣装もぜんぶ白にした。」
「いくら巧くても、自分と向き合っていない、自分と葛藤していない、上っ面だけの演奏では何にもならない。」

【禅茶】
・(普段飲んでいる八女茶に比べ)宇治の抹茶はまろやか。普段の倍くらい濃いめに点てるとおいしい。
・平茶碗でお湯を捨てるときは、右手を添える。
・丸卓の場合:茶碗を持って出て茶入に抱き合わせる。建水を持って出て下ろす。柄杓を鏡柄杓風に持って蓋置を茶釜の左前に置いたら、そのまま左手を斜めに倒し、右手を進め、柄杓を蓋置に置く。柄が水平になったらぽんと離す(切止は膝前)。袱紗を置く際は右足の横に。湯返し後は左手で柄杓の節を持ったら、右手を返して丸卓に襷に掛ける。蓋置を取り、持ち替えて丸卓の柄杓の左下に置く。他は台子とほぼ同じ。
・平棗の場合:袱紗扱いの最後に二つに折ったら、そのまま右手は膝の上に仮置き。左手で半月に棗を取り、右手で横を取り、左手は包むように降ろし下から棗を支える。二引きの後、その動きのまま再度右手で棗を横から取る。左手を半月に戻し、そのまま定位置へ。

佐藤豊彦氏プロフィール

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リュート界に於ける世界の第一人者として活動する佐藤豊彦は、立教大学在学中に恩師皆川達夫に出会い、啓蒙を受け、1968年にスイス、バーゼルに留学した。バーゼルではオイゲン・ドンボアにリュートを師事、1971年に世界で初めてのバロックリュートLPを録音してデビュー。

1973年には29歳でオランダ王立ハーグ音楽院の教授に抜擢され、2005年に退官するまでの32年間、世界各国で活躍する多くの後輩リュート奏者を育てた。

1982年のカーネギーホールでのリサイタルは、ニューヨークタイムズに写真入で絶賛を博した。Toshiba、Telefunken、Philips、EMI, Channel Classics、Carpe Diem、Nostalgia、など様々なレーベルで数多くのLP、CDを録音し、1980年にオランダでエジソン賞を、同年に日本で文化庁芸術祭賞を、さらに1983年と2008年の2回にわたってレコード・アカデミー賞などを含む多くの賞を受賞した。作曲家としても世界各地の現代音楽祭に参加し、自作品によるCD2枚もある。出版物にも「バロックリュート教則本」、「ヴァイヒェンベルガー・リュート選集」、「歌曲、或いはエア集 第1巻」などがある。

2000年には「リュート&アーリーギターソサエティ・ジャパン」(LGS-Japan)の会長に就任し、音楽家のための禅茶道「楽禅古流」と「楽禅式呼吸法」(気功)を考案し、能楽を学び、伝統的な日本の精神文化との融合を目指して、今も国際的に活動を続けている。

※2015年7月20日追記
1982年のカーネギーホールでのリサイタルのチラシ、ニューヨークタイムズの記事の画像追加

 

2015年7月18日 リュートお稽古

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・強調したい箇所は強くではなく、長く。
・左手のポジションはできるだけフレット寄りに。少なくとも全ての指は半分よりフレット側に。
・あまり複雑に考えない。単旋律でシンプルに歌うところは歌う。
・ヴァイスはBflatを7コースで取る場合が多いが、6コースで取った方が楽な箇所は、どんどん変更して構わない。
・ヴァイスのシャコンヌは7小節単位。4小節目の後半では待って、少し一息ついてみる。
・できる限る歌のうまい人と合わせる、伴奏をすると、ソロの弾き方も分かる。
・「何か簡単な歌の伴奏ありませんか?」「ダウランドはいいですよ。但し、簡単な曲は速く、遅い曲は込み入ったことをしています。つまり全て難しいです。」「何かもっと簡単な曲を。」「でもダウランドにしましょう。」「…。」

・「ケース・オッテンは生き字引のような人だった。何か電話で尋ねたら、『あー、それは音楽辞典の○○ページの左上の写真の下の方にこう書いてある。』等と答えるような。「電話先でですか?」「試しに訊いたら音楽辞典の1ページ目から全部諳んじていた。全部頭に入ってるんだよね。」
・ハンス・ネーマンがおそらく世界で最初に(復興した)バロック・リュートを弾いた人だろう。戦前の教則本も残っているが、ちゃんとした内容だ。彼が売りだしたバロック・リュートもダブル・ヘッドも割合まともなもの。(ブリッジの位置は高いけど)当時はガット弦だし。でもベルリンだったから戦争で彼も仲間も亡くなってしまった。ヴァイスのドレスデン稿の一部の組曲やロイスナーの手稿譜等も戦争で失われたけど、ネーマンの出版譜のお陰で残った。ゲルヴィッヒはルネサンス調弦でバロックを弾いたから、ネーマンより後退してるよね。」

【禅茶】
・立ち居振る舞いでは、能で囃子が楽器を持って舞台に出てくる場面を参考にするとよい。あれは美しい。
・袱紗扱いで、最後に手前に持ってくる際には、高さを変えず低いまま。
・茶碗に湯を注ぐ際の柄杓が高さが高過ぎる。上から見て柄杓の底と茶碗の縁が同じ高さに見えるくらいでよい。実際にはそれで一合分空いている。

2015年7月4日 リュートお稽古

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・修行時代は装飾を最初から考えて弾いてもよい。自分の本棚になるべく多くの本を詰めて、違う曲のふとした瞬間に、その本が出てくれば、それがすなわち即興となる。
・音が3度4度で飛んでいる旋律は、その間を埋めて音階にするだけで、立派な装飾になる。
・ヴァイスの時代は(それ以前も)強弱は長短で表現しよう。長ければ即ち重く、それが強弱となる。
・トリルの最初の音を長く取るのは、バロックも中期以降。ゴーティエはトリル、前打音は短く弾けと書いている。
・セパレーも時代によって違う。ゴーティエ、ド・ヴィゼー、ロイスナー、ヴァイス、同じように弾かず勉強が必要。
・ファクシミリを弾こう。特に現代のコンピュータ処理の楽譜はダメ。無味乾燥で演奏もそうなってしまうよ。
・トーマス・メイスは「1弦は切れる直前のギリギリまで張る」と書いている。言い換えれば、それが基準で、絶対的なピッチ等は存在しなかった。

【禅茶】
・立ち居振る舞いにおいて、膝をしっかり曲げ、出した足引いた足に体重を乗せる。
・袱紗扱いで、右手を前に出して戻す間は、左手は一切動かさない。
・袱紗扱いで、人差し指を一文字に書いて折る際には、上部をかなり長めにする。
・お茶を点てる際、茶筅はしっかり振るが、あまり速くし過ぎないこと。速過ぎると泡が荒くなる。