2017年2月11日 リュートお稽古

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・「この低音のスラーは上の声部の指を離さないと弾けませんね。つまり、上の声部は切っていいんです。休符があると思ってください。」
・「18世紀前半まではタブラチュアには原則的に休符は無いんです。そこで、こういう手法を採ったんですね。」「絶対取れない運指を使って休符代わりですか…。」
・「スラーが3音や4音にまたがると弱くなるんですが。」「弱くなってほしかったんでしょうね。」
・「低音がスラーで弱くなってますね。つまり逆に上声部はしっかりと弾けということでしょう。」
・「アーティキュレーションがバラバラですね。」「クヴァンツは『シークエンツでは同じことを繰り返すな』と書いています。サン=リュックはその典型ですね。」
・「サン=リュックのクーラントはおそらく大半はイネガル不要でしょう。付点が急に出てきたり、強拍がスラーの途中だったりしますから。」

【禅茶】
・茶入の回し拭きでは、牙蓋が客から見えるようにしよう。茶入の位置が低すぎると、何をやっているのか分からないので。

2016年1月29日 リュートお稽古

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・装飾はおまけ。力を入れずにさりげなく弾こう。装飾する前の曲が大切。
・特にテンポの遅い曲は繰り返しに装飾を入れた方がよい。
・プレストのような速い曲は、上の旋律が途切れないように弾くと綺麗。
・セーハを使うと旋律が途切れる場合がある。運指を考えよう。

・ゴーティエやデュフォーよりサン=リュックの方が難しい。
・サン=リュックは明るい曲が多いが、中には高音をあまり使わない地味な素晴らしい曲がある。
・サン=リュックがトンボーを捧げた、ウィーンのカストラートFrançois Ginterのリュート曲には素晴らしいものがある。

2017年1月14日 リュートお稽古

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・深呼吸(呼吸法)を行ってから練習を始めましょう。
・凝ったり痛くなったところを庇って弾いていると、さらに力が入って逆効果です。一度立って深呼吸しましょう。
・「凝ったら座ったままストレッチしたりしているのですが…。」「ダメです。立たなきゃ深い呼吸はできません。」
・力を入れてストレッチしてはダメです。深く吸って深く吐きながら伸ばせば自然と伸びます。
・手を下げながら吐くと、横隔膜の下から(腹式呼吸で)吐けます。足の裏から吸って吐くイメージ。
・リュートを弾くことは(PC仕事でも)前に集中します。逆さの方向へ体を動かし(反らして)バランスを取りましょう。
・凝りや痛みはその部位だけで起こるわけではありません。全身の面倒を見て、とにかくリラックスです。

・可能な限り左手を動かさなくていい運指を心がけましょう。それもリラックスのためには大切なことです。
・中指は親指と相対しているため残して押弦すると安定します。
・ポジションが飛ぶ場合は左手の形はそのまま。弦を触りながら滑らせると間違えません。
・繰り返しの際に装飾をするなら、左手の形は繰り返し前と同じにしましょう。特別なことはしない。
・やりすぎない。ゆったりとした箇所を設ける。
・あくまで同じ曲です。違う曲になっちゃったら、それは装飾ではなく作曲。
・リズムを崩さない。あるものを使う。間の音階をつないだり、和音を分けたり。単純なことです。
・付点のないサラバンドは少し速めに。遅いメヌエットのようなつもりで。

・現存するオリジナルのリュートは表面板が真っ直ぐだが、少し凹ませて製作したものが収縮して真っ直ぐになったと考えられる。
・「オリジナル通りに製作することイコール歴史的楽器ではないということですか?」「そういうことです。当時の製作状況がどうであったか調べないと。」

【禅茶】
・袱紗扱いは腰の高さで。
・炉の角に向かって座る。右膝は釜の下端くらい。そうすると前のスペースも余裕がある。
・お茶を点てる際、はじめの茶筅の振り幅は長く、勢いも激しく、後半は振り幅を短くゆったりと。点てている時間が短い方が良い。
・襖を閉める際、右足を軽く掛けたら、左足を踵を支点に90度回す、右足も踵を支点に90度回す。いずれも踵は動かさない。

佐藤豊彦自作品CD


「幽玄」 2015年10月録音

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【レーベル・型番】
Nostalgia Nostalgia-1503 CARPE DIEM CD-16311

【使用リュート】
リチャード・バーグ製作8コース・ルネサンス・リュート(ヴェネーレ・モデル)

【収録曲】
佐藤豊彦:ねんね ころいち(奈良地方の子守唄)
ずいずいずっころばし(東京地方のわらべうた)
ねんにゃこ コロチャコ(秋田地方の子守唄/器楽曲)
せんどのやんま(山形地方の子守唄)
もし音楽と甘美なる詩が一つのものであるならば…(シェイクスピア~情熱の巡礼者)
うつろい節(器楽曲)
わたしの愛も愛人もことごとく(シェイクスピア~ソネット40番)
赤とバイ(長崎の正月唄)
古代舞曲によるロンド風変奏曲(リュート・ソロ)
蕗の曲(古謡)
あんたがたどこさ(熊本地方のわらべうた)
君を夏の一日に譬えようか(シェイクスピア~ソネット18番)
コキリコ節(富山地方の神楽踊)
ようかい(種子島古調)
コチャエ節(江戸民謡)
漂(ただよい)(リュート・ソロ)

山田千代美(ソプラノ)
ワルター・ファン・ハウヴェ(リコーダー)
佐藤豊彦(リュート)

【解説】
ブックレットは佐藤豊彦氏の執筆による日本語の解説文が掲載されています。日本向けが「Nostalgia」、海外向けが「CARPE DIEM」のダブル・レーベルで、CARPE DIEMの紹介ページでは、DL販売、試聴もできます。

<東京エムプラスによる紹介文>
リュート界の第一人者であり日本が誇る世界的巨匠、佐藤豊彦。エザイアス・ロイスナーのリュート音楽(Nostalgia 1501)で新たな境地に達した佐藤豊彦の新録音は、日本の古謡や能楽、わらべ歌、或いは子守唄などを題材に、西洋のものとしては主にシェイクスピアのテキストが使われた、佐藤豊彦自身の作品集。編成は、佐藤豊彦が主宰するアンサンブル「アルバ・ムジカ・きょう」に中核メンバーとして参加した古楽声楽のスペシャリスト山田千代美と、「リトル・コンソート」などで共演してきたリコーダーの世界的名手、ワルター・ファン・ハウヴェを加えた小編成のアンサンブル。リュート・ソロ、歌とリュート、リコーダーとリュート、歌とリコーダーとリュートという4つの異なる組み合わせで、「幽玄」をテーマに東洋と西洋の混合を表現します。


「佐藤豊彦の世界~自作品集2」 1991年8月録音

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【レーベル・型番】
Channel Classics CCS4692(輸入盤) NCS396(国内仕様盤)

【収録曲】
1. 蕗の曲
2. エレジー風即興曲(蕗の曲の主題による)
3. 戯唄(たわむれうた)~金毘羅船々/通りゃんせ/てんてん手毬
4. a-l-i-c-e(アリス)
5. 甘美なるかな,死すべき運命の克服は
6. ロッケディ
7. 何と苦楽なるかな音楽とは
8. ヴァイスに捧ぐ

【解説】
ブックレットの解説文は佐藤豊彦氏の執筆によるものです。ブックレットそのものに解説も曲目も日本語で記載されているため、国内仕様盤といっても、長帯以外は輸入盤と変わりません。

 


「ローランへの巡礼~佐藤豊彦の世界」  1991年5月録音

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【レーベル・型番】
Channel Classics CCS3291(輸入盤) NCS274(国内仕様盤)

【収録曲】
1. 「ローランへの巡礼」
2. 2台のリコーダー、ルネサンス・リュート、テナーガンバのための組曲「小話」
3. 4つの子守歌

【解説】
ブックレットの解説文は佐藤豊彦氏の執筆によるものです。ブックレットそのものに解説も曲目も日本語で記載されているため、国内仕様盤といっても、長帯以外は輸入盤と変わりません。

 

 

佐藤豊彦氏所有楽器 オリジナル・リュート「グライフ」について

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リュートの銘器「グライフ」

ドイツのニュルンベルクとミュンヘンの間にあるインゴルシュタットは1472年から1799年まで宗教と芸術の町として栄えた。フュッセン出身のリュート製作の大家ローレンツ・グライフは1593年頃にインゴルシュタットへ来て工房を開き、途中で幾ばくかの空白はあったが、1631年に家具製造家に工房を譲るまでの約40年の間この町に於けるリュート製作を取り仕切った。

イギリスの外交官トーマス・ホービイ卿が1548年の真夏にドイツのシュトラスブルク(現在フランスのストラスブール)からアウグスブルクを経て、さらにフュッセンを通ってイタリアのヴェネツィアへ旅した。その時の記録に「ここ(フュッセン)では最高の完成度でリュートが製作され、ヴェネツィアやその他の町へ送られている。」と書かれている。つまり、フュッセンでは町をあげて各家庭でリュートが製作され、ヨーロッパ中の都市に出回っている高名なリュート製作家のもとへ送られたのである。でなければ、16世紀のボローニャでリュート製作の巨匠として高名であったラウクス(ルカス)・マーラーが亡くなった時「工房に500台以上ものリュートが掛かっていた。」という話は嘘になる。一生掛かっても1人で500台のリュートを作ることは難しい。それも残りだというのであるから、その数倍もの数を作ったことになる。

この楽器は、恐らく1610年に、ローレンツ・グライフ(Lorenz Greiff)によって10コースのルネッサンス式調弦を持つリュートとして作られた。ボディーの内側には[Laurentius Greiff me fecit Ingolstadij, Anno xxxx]と印刷されたラベルが貼られている。つまり「この私ラウレンティウス・グライフによってインゴルシュタットでxxxx年に作られた」という意味である。ラウレンティウスはローレンツのラテン語読みである。実はxxxx年というのははっきりとは読めないが、修復のため楽器が開けられた際、ラベルを虫眼鏡で詳細に調べたところ、先ず16xxと読める。次に3つ目の数字は上部が尖っている数字であることが読み取れるので、1か4である。そして最後の数字は上部と下部が丸い、つまり0、3,6、8のいずれかである。そして中央部が空白である。つまり0である可能性が高い。と言う所から1610年が割り出された。もう1つの理由は、1612年にはヨハン・フィヒトルト(Jonann Fichtold)がグライフの代役としてフュッセンから招応され、グライフは一旦故郷フュッセンへ戻っている。その後グライフがいつインゴルシュタットへ戻ったかは明らかでない。つまり、1613年から1618年の間はインゴルシュタットに居なかった可能性が高い。

グライフのボディーの内側にはもう1つの手書きのラベルがある。何が書かれているかは読み取れないが、最後の1673年ははっきり読める。その年に、恐らく同じインゴルシタットで11コースの通称フランス式バロックリュートに作り替えられた。それを行ったのは、1660年頃フュッセンからインゴルシュタットへ移住したリュート製作家ヨハン・コルプ(Johann Kolb)であろう。とすれば、そのラベルはヨハン・コルプの書いたものである。その状態で1990年まで南ドイツの或る貴族の館に保存されていた。1990年に小生の手に渡った後、オランダのリュート製作家ニコー・ファン・デア・ヴァールスによって4年間掛かって修復された。弦も歴史的なガット弦を使用することによって、400年を経た今その夢のような美しい音色が再現されたのである。

このリュートによる録音にはChannel Classicsレーベルから「自由奔放な様式(Style brise)」(ゴーティエ、デュフォ、ガロなどのフランス音楽)、Nostalgiaレーベルから「華麗なる様式」(ヴァイヒェンベルガーの音楽)、「リュートの飾り棚」(ルサージュ・デ・リシェーの音楽)、「カンタービレ様式の至芸」(ラウフェンシュタイナーの音楽)がある。2013年春にはドイツのCarpe Diemと日本のNostalgiaのダブル・レーベルで「ロベール・ド・ヴィゼーのリュート音楽」がリリースされる予定である。

 佐藤豊彦氏 著

 

※2016年10月管理人追記

2012年に、上記のオリジナル・リュート「グライフ」に関する解説を佐藤豊彦氏に執筆して頂きました。その後、2012年に「グライフ」は、アルゼンチン人のリュート製作家セバスチャン・ヌニェスSebastián Núñezによって再修復されています。その際に、ラベルの解読にも成功し、製作年代は1611年と判明しました。さらに、2013年以降にも佐藤氏は「グライフ」による録音を次々と発表しています。2013年発売の『ロベール・ド・ヴィゼーのリュート音楽』、2015年発売の『名器「グライフ」によるバッハとヴァイスの音楽』、2016年発売の『エザイアス・ロイスナーのリュート音楽』、いずれも総ガット弦による演奏です。詳細は当サイトの「佐藤豊彦氏リュートソロCD」の項をご覧ください。

また、古楽情報誌「アントレ」の1997年3月号 No.086に、佐藤氏の文章で、「グライフ」の入手から、ニコー・ファン・デア・ヴァールスによる修復、最初の録音『自由奔放な様式(Style brise)』に至る経緯が掲載されています。バックナンバーとして、下記公式サイトから入手できるようです。
http://www.auditus.jp/entry/e1997.html

オリジナルのリュートがたいへん貴重であることは言うまでもありませんが、この「グライフ」はその上、「表面板が1611年当時のもの」「1673年に11コースに作り替えられたのち、後世の改造が無い」「杢目の詰まった表面板やイチイの裏板など、最高の木材が使用されている」等を兼ね備えた、厳密な意味でも歴史的と言える銘器です。これからも佐藤氏とともに末永く、その古雅な音色を響かせてくれることを願っています。